スクールソーシャルワーカーって何するの?【ドイツの場合】

日本でも、ときどき耳にすることがあるスクールソーシャルワーカーという言葉。
国は、2008年度から「スクールソーシャルワーカー活動事業」を示しましたが、スクールソーシャルワーカーが世間に浸透しているかと言われると疑問です。

ドイツでも、スクールソーシャルワーカー(Schulsozialarbeiter/in)がいます。
その必要性は、ますます高まってきていると言えるでしょう。

本記事では、ドイツのスクールソーシャルワーカーの典型的な業務内容について紹介します。

スクールソーシャルワーカーって?日本の場合

ドイツのスクールソーシャルワーカーについてみてみる前に、日本のスクールソーシャルワーカーについて確認します。

スクールソーシャルワーカー

いじめや不登校、虐待、貧困など、学校や日常生活における問題に直面する子どもを支援する社会福祉の専門家。子ども本人だけでなく、家族や友人、学校、地域など周囲の環境に働きかけて、問題解決を図る。
専門の資格はないが、原則として、国家資格である社会福祉士や精神保健福祉士などの資格が必要となる。しかし、教員OBなど、教育・福祉現場での活動実績がある人がなる場合もある。
出典:https://kotobank.jp/

さらに、文部科学省は、スクールソーシャルワーカーの業務内容について、下記のように示しています。

1.問題を抱える児童生徒が置かれた環境への働き掛け
2.関係機関等とのネットワークの構築、連携・調整
3.学校内におけるチーム体制の構築、支援
4.保護者、教職員等に対する支援・相談・情報提供
5.教職員等への研修活動 等

出典:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/046/shiryo/attach/1376332.htm

自治体によっても違いはありますが、スクールソーシャルワーカーは非常勤で、地域のいくつかの学校を掛け持ちしている場合や教育委員会から派遣される場合が多いようです。

似た専門職としてスクールカウンセラーがいる学校もありますが、スクールカウンセラーが心理学を学び、カウンセリングを通した本人の心のケアを中心的に行うのに対し、スクールソーシャルワーカーはその人を取り巻く環境に働きかけ、家族・関係機関との連絡・調整を行います。

ドイツのスクールソーシャルワーカー

ドイツのスクールソーシャルワーカー(Schulsozialarbeiter/in)も、日本のスクールソーシャルワーカーと同様に、学校に配属されたソーシャルワーカーです。

スクールソーシャルワーカーは、基本的には大学でソーシャルワーク(Soziale Arbeit)を学んだ人たちとなります。

2014年のデータでは、約5,000人のスクールソーシャルワーカーが働いていました。
約50%の学校でスクールソーシャルワーカーが配置されており、その需要は現在も高まっています。
参考:https://www.dji.de/fileadmin/user_upload/bibs2017/64_Schulsozialarbeit.pdf

ドイツにもいるスクールカウンセラー

ドイツでも、ソーシャルワークではなく、心理学を学んだ学校心理士(Schulpsychologe)がいます。

ドイツの場合、学校心理士の配置はスクールソーシャルワーカーよりも少ないです。
ドイツでは、心理学部の入学・卒業は医学部と並ぶレベルで難しいといわれています。
スクールソーシャルワーカーよりもスクールカウンセラーの方が給与額が高いこともその理由の1つと考えられます。

ドイツの学校心理士は、日本のスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーのように、いくつかの学校をかけ持っている場合が多いようです。

スクールソーシャルワーカーの業務内容

ドイツのスクールソーシャルワーカーの典型的な業務内容を紹介します。

出典:https://raabeschule.de/schule/beratung/schulsozialarbeit/

 

●生徒・教師・親への相談業務

●問題の解決に向けた支援

●学校内外のネットワークの構築・協働

●学校生活の支援

●福祉教育の実施

●いじめ予防プロジェクトの企画運営

日本のスクールソーシャルワーカーの業務内容とほぼ一致しています。

ドイツで子どもが抱える問題として頻繁に挙げられるのは、

●不登校(就学する義務の違反)
●いじめ
●虐待・家庭内暴力
●非行
●貧困

などです。

特に、不登校の状況については、日本とドイツでは大きな違いがあります。

日本では、子どもが自らの意思で学校に行かない場合、親が罰せられることはありません。
しかし、ドイツでは子どもは教育を受ける権利だけではなく、就学する義務が課せられています。

そのため、学校に行けない重大な理由(例えば、病気によるもので医師の診断書がある場合等)がなく、子どもがただ学校に行かない場合、保護者は罰金を払うことになります。

さらに、警察が家まで来て子どもを学校に連れて行くこともあり得ます。

さすがに警察が来たという話はあまり聞きませんが、罰金を支払わなければならなくなった話はときどき耳にします。

このように、就学する義務の違反はスクールソーシャルワーカーが抱える重大なケースのひとつです。

また、近年のドイツでは移民や難民の子ども、さらに障害を持つ子どもインクルーシブ教育もますます進められており、スクールソーシャルワーカーはさまざまな子どもの状況に合った支援や知識を求められています。

まとめ

近年のドイツでは、ソーシャルワーカーが学校で勤務していることが普通になってきました。

業務内容は多岐に及び、「スクールソーシャルワーカーは忙しい」というのは人々の共通認識になりつつあります。

さらに、ドイツならではの問題もあります。

日本でも、子どもの抱える問題や教師の負担の増加が問題になっています。
スクールソーシャルワーカーの配置は、一人ひとりの子ども、さらには教師にとって学びやすい・教えやすい環境を保障することに繋がるかも知れません。

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