クリニック・クラウンとは?ドイツの例

クリニック・クラウン(ホスピタル・クラウン)という人たちをご存じでしょうか?

クリニック・クラウンは、病院や福祉施設に訪問するクラウン(道化師。日本ではピエロと呼ばれることが多い)のことです。

筆者は、ドイツ生活の中で実際にクリニック・クラウンとして活動している人に出会いました。

この記事では、ドイツのクリニック・クラウンとその一例について紹介します。
実際にクラウンとして活動している方に話を聞きました。

クラウンとは?

クラウン(clown)とは、日本語で道化師おどけている人と訳されています。

多くの場合、鼻が赤く、カラフルな衣装を身につけ、ステージやサーカスでおかしなことをして人々を笑わせます。

日本ではピエロが有名ですが、ピエロはいくつか種類があるクラウンの中の1つの名前ということのようです。

ドイツのクラウン

ドイツ語で「クラウンとは?」と調べると、やはり人々を笑わせ、ときには泣かせるパフォーマーもしくはアーティストと出てきます。

ドイツでは、このクラウンの姿を見ることが日本よりも多いように感じます。
イベント会場では、クラウンがバルーンアートをして子どもたちに風船を配ったり、11月から2月に行われるカーニバルでは、クラウンに仮装した人々を見かけたりします。

ドイツのカーニバル
カーニバル(karneval)は、ラテン語で「肉よ、さらば!」という意味の言葉が語源。
カトリック教徒が断食期間に入る前の食べ納めのお祭り。
現在では、宗教色は薄くなり、仮装をした人々がパレードに参加したりパーティーを楽しんだりする行事となっている。
ドイツ大使館のHPでも紹介されている。

このカーニバルは、地域によっては1年の中の一大イベントです。
そのため、クラウンは日本よりも少し身近な存在かもしれません。

クリニック・クラウンとは?

パフォーマーやアーティストとしてクラウンになり、病院を訪れる人々がいます。

これが、クリニック・クラウン(ホスピタル・クラウン)です。

入院生活は、できることが限られており、退屈で刺激が少なく、ストレスがたまります。

「笑いは人を癒すことの助けになる」という考えのもと、クリニック・クラウンは病院や施設に定期的に訪問し、入院患者・入居者やその家族、さらにそこで働くスタッフ達にパフォーマンスや音楽で笑いを届け、患者の治癒を促します

1986年にアメリカから始まったとされるクリニック・クラウンですが、その後、全世界にそのアイディアは広がりました。

ドイツのクリニック・クラウン

ヨーロッパでは、1990年代の初めにクラウン・ドクターが誕生し、ドイツでは1993年からクリニック・クラウンの活動が広がり始めました。

ドイツには、さまざまなクリニック・クラウンの団体があります。
また、プロのクラウンを育てる教育プログラムや研修会なども行われています。

さらに、クリニック・クラウンの患者に対する支援活動やその効果について、ハンブルク大学病院やブレーメン大学などから調査論文も出されています。

クラウンの訪問先

クラウンが訪問する主な人々は、以下の通りです。

●病気の子ども
●高齢者
●障害者
●重病で長期入院の人
●ホスピスに入院している人 など
(参照:Dachverband Clowns in Medizien und Pflege Deutschland e.V.)

これらの人々の不安や寂しさに寄り添い、一緒に遊んだり、歌ったり、楽器を演奏したりして痛みを忘れられるようにします。

さまざまなプロジェクト

また、定期的な医療・福祉施設の訪問の他にも、さまざまなプロジェクトを行っている団体もあります。

例えば、ドイツではシアター教育学(Theaterpädagogik)という分野があります。

シアター教育学(Theaterpädagogik)
演劇やステージでの表現と教育学をかけあわせたもの。
子どもや青少年、障害を持つ人々、高齢者、教師、保育士などさまざまなグループを対象に、シアター芸術への扉を開き、アーティスティックな能力を促進する。
対象者の個人的な表現を広げることは人格形成に役立ち、自我意識や自信を高めるとしている。

シアター教育学の一部として、クラウン教育学(Clownpädagogik)を提唱・実践している人々もいます。

病院でのクラウン教育学的なプロジェクトも行われています。

ホスピタル・クラウン-ドイツの一例

筆者がドイツで知り合ったクリニック・クラウンに話を話を聞きました。

その人が所属しているのは、Clownskontakt(クラウンズコンタクト)という団体です。
ClownskontaktのHP

このクリニック・クラウンの団体には、約8名のクラウンが所属しています。(2020年4月現在)
所属しているクラウンのほとんどが、役者や楽器の専門教育を受けてきた人や障害児教育や保育士、小学校の先生を経験してきた人です。

クラウンコンタクトはどんな団体ですか?

私たちは、主にホスピス高齢者施設を訪問しているクラウンです。
ドイツでは、子どものためのクリニック・クラウンは知られていますが、ホスピスに訪問するクラウンは比較的新しい試みと言えます。

 

訪問では何をしますか?

アコーディオンやウクレレなどの楽器を演奏します。
音楽に合わせて踊ったり、歌ったりします。
シャボン玉や風船も持っていきます。
患者さんや入居者さんと目線を合わせ、スキンシップや会話などコミュニケーションを楽しみます。

もちろん、静かに過ごしたい人は尊重します。

 

この動画を見てもらえると、その様子がよくわかると思います。

 

なぜクラウンになったのですか?

クラウン役の中では、遊び心とクラウンの特権である“無礼”を使って人々と関わることができるからです。軽やかさと陽気さでこの瞬間を作り上げることは、私が願っていることです。

 

クリニック・クラウンだけで生計を立てることはできますか?
お金はどこからもらうのですか?

クリニック・クラウンのみで生計を立てている人たちがいます。
ほとんどを寄付金やその他の方法でまかなっています。
例えば、健康保険によっては“予防”の一環としてクリニック・クラウンにお金を出してくれる場合もあります。
つまり、私たちクリニック・クラウンはセラピーのひとつとして認められているのです。

 

クリニック・クラウンの報酬はどのくらいですか?

一度の訪問(2時間が目安)につき、クラウン1人あたり約150ユーロ(約1万7千円:2020年4月現在)もらいます。
そのうち約10%を所属団体に戻しています。
クリニック・クラウンでお金持ちになることはできませんが、生活はできます。

さらに、この記事を書いているのは2020年4月です。
現在、Covid19(新型肺炎ウイルス)はドイツでも広がっており、接触制限が行われています。

そんな中、病院や施設を訪問できなくなってしまったクラウンたちは、施設の前で人々を楽しませています。

まとめ

この記事では、ドイツのクリニック・クラウンについて紹介しました。

ドイツでは、クラウンの存在は日本よりも身近かもしれません。
クリニック・クラウンについての調査論文も提出されており、その活動はセラピーのひとつとして認められつつあるようです。

日本にも、クリニック・クラウンの活動を行っている団体があります。
興味のある方は、ぜひ調べてみて下さい。

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